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鏡に映る自分の顔を見て、そこに映し出された“私”を受け入れられずに悩む人がいます。このような人は、自己イメージの評価が実際よりも低くしか感じ取れないのです。
子ども時代の環境で、自己認識の低下に関するトラウマとなった何か原因があるのは確かです。
自分の顔がゆがんで見えたり、左右の均整を気にしたり、顔の輪郭にこだわったり、髪、目、鼻、耳、口、歯並び、ホクロ、体毛、性器などの部分的な箇所に異常に固執して苦しんでいます。
顔だけではなく、髪型や身体全体(スタイル)のどこかに極度のこだわりやとらわれを抱きます。

そもそも、鏡に映っている映像が、自分であるということを理解しているということはどういうことでしょう。

鏡に映った像を自分と認識する認知能力は、当たり前のように思われているでしょうが、脳と意識のもっとも複雑な謎の一部を解き明かす手がかりでもあるのです。
生後18カ月ぐらいから始まる自己の顔認知は、脳内の自己を記述するための出発点です。それは、脳が自己理解や他者理解を生じさせる仕組みに関わってもいます。だから、成長過程において強いストレスに長期さらされたら、自己認識の評価に異常を刻んでしまうのです。

私達の脳の働きは、時として、様々な錯覚を生みだします。最近そのような研究が進みテレビでも番組の中で取り上げられています。
誰でも経験があると思える例をあげれば、いつも見慣れている漢字の一文字をじっと眺めていると、それまで当たり前のように感じていた漢字に対する認識が壊れていき、何やらその文字がどこか間違っているような奇妙な感覚に襲われ、なんと読む漢字だったか、またはこの形で正しいのか分からなくなるものです。
もちろん、描かれた文字が変形するわけもなく、我々の文字の解釈としての感覚が薄れてしまうのです。
または、自分の顔を鏡に映して、じっと眺めていると、段々と鏡に映っている自分の顔が動き出して、歪んで見えてきたりもします。(ゲシュタルト崩壊) 
こういった例でもわかるように、鏡に映し出される映像は、自分の脳という機能を通した感覚であって、普遍的・客観的真実ではないのです。
あくまでもその時の脳の健康状態に左右され依存しています。
自分の気分が高揚している時は、鏡には自分の顔が明るく映りますし、心がふさがっている時は、同じ造形の自分の顔が、暗く沈んで見えます。鏡の向こうの"私"は、このように心理的状態を確実に反映しているのです。
もちろん、気分が表情筋に反映されているから違って見えるのだと反論される方もいらっしゃることでしょう。でもそういった次元での話ではないのです。
美容整形などで、気に入らない個所を改善したとしても、心(脳)の問題なので結果は満足できずに、何度も繰り返して、結局は顔を壊してしまう例は多いものです。
問題は、その人の脳が、目の前の鏡に映っている自分の顔やその他の映像をどのようにとらえているかということです。
どうやら、人は自らが見ている映像に解釈を感覚的に張り付けているらしいことも分かってきました。
ストレスの影響下に置かれている時や脳内神経伝達物質(脳内ホルモン)に異状が起きている時には、脳の働きが微妙に狂ってきます。
こうした、脳の働きの異常(脳機能障害)が起きると、鏡に映っている自分の顔の全体もしくは部分に不満を感じ、目を背けたくなるほど否定的感覚を体験することがあるのです。
そのような、ストレスが長期化した時を過ごしている時、脳の記憶に刻まれた自分の顔に対する不満な印象の記憶が深く残ってしまい、その後の日常の生活の中にも時として(ストレスにさらされている時に)無意識的に思い出され、その時の感情も反映するようになるのです。
こういった状態に陥るのは、トラウマを背景とした何らかのストレス下で数ヶ月間過ごしてしまった結果なのです。長期間のストレスによって脳機能に異常をきたしてしまった時に作られた脳内回路の反射で、心理的にも調子が悪くなっている状態なのです。

過去において長期間、鏡に映る自分の何かにこだわることや、自分ではないような感覚に襲われることを経験し続けていたとすれば、早く専門家に相談して改善しなければなりません。
もちろん催眠療法は、無意識の脳の領域に働きかける最適な治療法です。
早くそういった精神状態(ストレス環境)から自分自身を切り離し、形成されてしまった脳内の条件回路に振り回されない生活をしなければなりません。
そのためには、ストレスやセロトニン不足による脳機能の障害が起きないように心掛けることも必要です。また、今苦しんでいる症状は、過去において脳内に形成された条件回路(癖)であるというしっかりした認識の下で、鏡の中に感じる自分自身に焦点を当てて観察するのをやめなければいけません。心の状態が悪い時は、鏡に映る自分自身の顔・姿のイメージが、自分が描いているイメージと違うように感じ、気分が落ち込み、人の視線を意識しすぎて落ち着かず、うつの心理状態に至ることもよくあるのです。そういった感覚に影響を受けて苦しむようになってはいけないのです。
鏡の前から離れられないほど、自分の特定の部分が気になり、切り替えができにくい人は、強迫性障害の傾向(強迫観念)が強い人ともいえます。
強迫性障害からの視点では脳内伝達物質のセロトニンの異常と、眼窩皮質という箇所の異常だともいわれています。
身体醜形障害の自己対処法としては、鏡に映るとらわれている箇所は過去に刻まれた条件回路が反映しているということを認識し、過去の間違った幻影が重なっているのだとしっかり自分に言い聞かせてください。何かのストレスが、あなたの脳を混乱させているのです。調子いい時と悪い時があるのがその証明なのです。決して鏡に映るこだわりの部分を重要視するのではなく、気持ちを切り替え、容姿全体へと視点を広げてください。 どうしてもうまくいかなければ、私にご相談ください。催眠による手助けが必要です。