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緊張する原因を明確にした後は、最後の仕上げに、イメージ・トレーニング(メンタル・リハーサル)と呼ばれる作業を行います。
これは頭の中で実際の場面を想像しながら自分の理想に近い状態をイメージするのですが、あくまでも過去の自分ではなく、これからこう変わりたいと願っているイメージで振る舞えている自分を想像します。
トランス状態で、頭の中で繰り返される自己イメージは、脳内に新たな学習(条件回路)を形成します。
この形成された条件回路が、現実の環境の中で反映され、新たな自己像として行動できるように変わっていきます。
よく、頭の中では想像できるんだけど、現実になると元の自分に変わってしまうから意味がないと嘆かれる方がいます。
それはイメージトレーニングの考え方とやり方が間違っています。
イメージトレーニングを正しく実行できれば、脳内に新たな回路が形成され、新たな自己像が形成されていきます。
もちろん過去に経験した記憶としての脳内回路も残っています。しかしそれが反応しないように、新たな回路を適応するようにできるのです。
たとえ頭の中だけで繰り返されたバーチャルの世界であったとしても、脳内回路においては実体験との違いはなく、バーチャル体験が今自分が置かれている現実に反映されます。
考えてみてください。たとえば、人前で立派に話ができた経験を持っているとします。その経験が支えになって、次に人前に出る時にそれほど緊張せずに行動できたとすれば、それは最初の経験の時に脳が学習(経験)したことです。この脳の学習(経験)が次回に反映されたわけですが、1回目と2回目の環境や状況が違っていても、脳に刻まれた自信には違いがないのです。それと同じで、頭の中で繰り返されたバーチャルな経験も、脳にとっては、かなり違った現実環境であっても、その本質が抽出され実行されるのです。人の脳はそれほど適応能力が備わっているのです。
催眠を活用したイメージ・トレーニング(メンタル・リハーサル)の効果は絶大なのです。

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メンタル・リハーサル(イメージ・トレーニング)の説明で、心の中に鮮明で詳細なイメージの視覚化をするように説明されています。しかし、イメージの鮮明な視覚化ができない人は効果が弱まるのでしょうか?
そんなことはありません。イメージの視覚化の程度は個人差があり、これは脳の個性の一つだと理解して下さい。個人差はあっても、正しく行えば効果は同じことなのです。なぜなら、イメージ・トレーニングで条件回路がつくられている脳の部位は、イメージしている脳の視覚野ではないからです。
では正しいトレーニングの仕方とはどのようなものでしょうか。
あなたが対人面で、苦しんでいるとしたら、人と交流している時の、状況のあらゆる起こりうる事態を予測し、その心理的に逆境ともいえる状態を乗り切っている自分自身を描いてみることです。初めから理想を描くのではなく、今よりは少し楽な状態で過ごせている自分の理想に近い対処を頭の中でリハーサルするのです。
ある苦手な状況のナ家で起こりうるであろう様々な事態を予測して、その状況に応じた具体策を講じておくのです。
ただたんに、「自分はこうなる・・・」みたいな、具体性のない漠然としたプラス思考(ポジティブ・シンキング)では、あなたの脳は、具体性に欠け、何も学習できず、理想的な新たな回路を作ることができません。
勿論、脳の優れた適応能力は、想像だにしなかった事態に遭遇しても、総合判断により、最適な対処をしてくれるのです。だからあらゆる事態を想定して・・・・と言ってもそれほど神経質になることはないのです。可能な限る具体的に頭の中で脳に学習(理想的自己像としての対処の経験)をさせきれるかが重要になります。

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スポーツ選手が行うイメージ・トレーニングは、メンタル・リハーサルとは違うように感じられるかもしれません。しかし、スポーツとしてのイメージ・トレーニングは、イメージしている部位の筋肉にも影響を与え鍛えてもくれますが、ただ単に漠然と筋肉を鍛えているのではなく、頭の中にイメージしている具体的な動きを向上させてもいるのです。
イメージ・トレーニングによって、一度形成された脳の電気回路は、その後の繰り返される刺激に対してより敏感になり、よりスムーズな筋肉(身体)の動きになります。脳は、実際に何かの訓練を行ったことと、それを頭の中で考えリハーサルしたこととの区別をしないのです。
筋電図を作るEMG(表面筋電位計測装置)を装着して、身体を動かしスポーツしているイメージ・トレーニング(メンタル・リハーサル)をしてもらうと、実際にからだを動かしている時と全く同じ電気インパルスが脳から筋肉に
送られているのが計測できます。思考は、行動と同じ指令を脳から生み出すのです。
現在、脳波(EEG)と呼ばれる、脳から生じる電気活動記録し観察したり、脳神経細胞の電気活動によって生じる磁場を観察する脳磁図(MEG)を使った調査においても、具体的な行動のイメージを描いたり考えたりするだけでも、実際にそれを実行した時と同じ電気活動を脳がしていることが分かっています。